2017年12月5日NHKクローズアップ現代+でベトナム人私費留学生をめぐる問題が取り上げられたようです

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2017年12月5日NHKクローズアップ現代+ベトナム人私費留学生をめぐる問題が取り上げられたようです

 大変すみません、当エントリーをご覧の方々はご存知かもしれませんが、一昨日(2017年12月5日)、NHKの「クローズアップ現代+」というニュース番組で、ベトナム人私費留学生をめぐる問題が取り上げられたようです。番組は24分前後で、「追いつめられる留学生 〜ベトナム人犯罪“急増”の裏側で〜」と題されていました。

 NHKのウェブサイト中の下記ページに、上記の番組の詳細な内容が掲載されているので、ご参照ください。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4073/index.html
追いつめられる留学生 〜ベトナム人犯罪“急増”の裏側で〜

 当社/当センターのほうで番組を視聴し上記のページを読んで、ポイントになるのではないかと思われることを数点挙げてみます(大変すみません、当社/当センターが重要だと思った点を中心にまとめたものであり、詳細に関しては放映された番組の録画か上記のURLをご確認いただければ幸いです)。

1. 問題提起としては成功したのでは?

(今回の特集で取材に関わられた方々には大変失礼かもしれませんが、)NHKにしては相当よく取材してあり、大きな問題点も取り上げられていたのではないかと思われます。当社/当センターにとっては、以前NHKのニュース番組の取材にご協力させていただいたもののがっかりさせられた件があったこともあり、意外でした。また、一部の日本語学校関係者の方々は番組を(矮小化して)日本語学校を貶めるものだと批判されていたようですが、番組は日本の日本語学校に対する単なるネガティブキャンペーンやレッテル貼りに留まらず、大枠でベトナム人私費留学生を取り巻く深刻な状況が報じられていたのではないかと感じています。問題提起の第一弾としては成功したのではないでしょうか。

2. ベトナムでの偽造書類の横行等、重大な問題が取り上げられていた!

 ベトナムの私費留学業者への取材や識者として出演された出井氏のご指摘に関してはやや単純化し過ぎている箇所や正確さに欠けるところがないわけはないように思われたのですが、それほど大きく間違えていないように思いましたし、重要なポイントが押さえられていたのではないかと思っています。もしかしたらテレビの視聴者の方々のために正確だがわかりにくいという部分をあえてわかりやすく端折ったという面もあったのかもしれません。

 特にベトナム人の私費留学で相当の割合で偽造書類が使用されているにもかかわらず、ベトナム人私費留学生を受け入れている日本の日本語学校が(学費ほしさに)黙認してしまっているという実態を報じていたことはとても重要なことだったのではないかと思われます。

 ベトナム人の私費留学で相当の割合で偽造書類が使用されていることに関しては、一昨日(2017年12月5日)のNHKニュースでも報じられていたようです。下記に引用する箇所です。

 職員の男性は「ベトナムでは、日本語学校に留学すれば来日するためのビザをいちばん簡単に取得できると考えられている。出稼ぎ目的の留学生をたくさん集めれば学費を稼ぐことができ、ビジネスになる。いちばん大切なのは学費を多く集めることだ」と話しています。
 留学生として来日するためには学費の支払い能力などを証明する書類を提出し、入国管理局の審査を受ける必要がありますが、職員の男性は「書類のほとんどはねつ造で、ベトナムではお金を払えばどんな書類も偽造できる。ベトナムでは農業をしている人が多いが、年収200万や300万円など、稼ぐのが難しい数字が書かれている書類もよく見かける。自分が働いている日本語学校も書類が偽造されていることに気付いているが、学生がほしいので見て見ないふりをしている」と話しています。

3. ベトナム人私費留学生にも一定の責任があるのでは?

 当社/当センターのブログでは1年半ほど前のエントリーでも約1年前のエントリーでも述べていることですが、アルバイトで稼ぐことが主目的の私費留学の本分を履き違えたベトナム人留学生、ベトナムの「日本で勉強しながらの高額アルバイト」を謳う金儲け優先の日本留学エージェント、日本で国際貧困的ビジネスを手掛ける日本語学校、いずれも大きな問題があるのではないかと考えています。

 今回の番組では、無理して私費留学したことが一因(主因?)で万引き事件を起こし逮捕されてしまったベトナム人女性のインタビューが放映され、大変お気の毒だと思ったのですが、そのことと同時に違和感も感じてしまいました。

 最近数年間ベトナムでは多くのマスメディアが日本への私費留学で大きなトラブルや被害、事件にあったベトナム人元(現)留学生や家族を取材し、悪質な行為をはたらく日本留学エージェントやひどい対応の日本の日本語学校の手口を解説し、安易な日本の私費留学に対して度々警鐘を鳴らし注意喚起を行っているようです。

 そのことに加え、ベトナムの日本留学エージェントに巧みに勧誘されたのであっても私費留学の大変さに思い至らないことはあまりにも見識不足、知識不足でしょうし、アルバイトで稼ぐことが主目的というベトナム人に至っては、私費留学の本分を履き違えているのではないか、と思ってしまいます。

 仮に今回取材を受けていた逮捕されてしまったベトナム人女性が様々な面からしっかりと日本での私費留学のことを調べれていれば、無理をしてまで私費留学生として来日しなかったという可能性が高かったのではないか、と想像しています。

 番組とは関係ありませんが、先日よりベトナムハノイには日本留学を支援する独立行政法人であるJASSO(日本学生支援機構)の事務所が置かれるようになったようで、在ベトナム日本大使館や日本領事館、独立行政法人国際交流基金等と密接な連携を取りながら、金融業者への借金等無理をしての私費留学やアルバイトが主目的の私費留学が行われないように、日本政府としてもJASSOとしても、すでに行っている在ベトナム大使館ウェブサイトの注意喚起等に加えて、しっかりと地道にPR活動や広報を多面的に継続していただけることを強く願っています。

4. 日本の外国人私費留学生を支援、応援する取り組みは?

 一昨日(12月5日)の「クローズアップ現代+」の番組の最後のほうで福島県郡山市に住んでいらっしゃる方の支援の取り組みが紹介されていましたが、日本では留学生、特に私費留学生が抱えているトラブルや悩みに対して相談や解決をサポートする機関や団体がほとんどないようですね。

 大変すみません、留学生のトラブルや悩み相談に対して公的機関や既存の団体がどのような対応をしているのか十分把握していないのですが、少なくとも東京都の外国人相談窓口となっている公的機関や団体のリスト等を見るかぎりでは、対応言語にベトナム語がないところも多いようで、当社/当センターが多少調べた範囲では、ベトナム人私費留学生の相談先としてどちらの公的機関や団体がいいのかはっきりしたことはわかりませんでした。日本にいる外国人留学生、特にベトナム人留学生やネパール人留学生、もし余力があるようなら、スリランカ人留学生、ミャンマー人(ビルマ人)留学生に関しても、それぞれの国に特化しそれぞれの国の主要言語に対応できる公的機関か民間団体が必要とされているのかもしれない、と思いました。

 一部の日本語学校関係者の方々は、日本政府や各地の地方自治体に期待を寄せられているようですが、一般論として私費留学生も含めて留学生は日本での留学資金を十分保有しているということで来日しているはずなので、行政が関わる場合は支援の目的、意義が問われることになり、行政の支援は限定された形になるかもしれません。私費留学生に関しては受け入れている日本語学校や専門学校、短大、大学が率先して行うべきだという論もあるのかもしれませんが、実際のところ、多くの日本語学校や専門学校は自校の留学生の対応で手一杯のようで、他校に在籍している留学生のトラブルや悩みに対応する余裕がほとんどないという状況のようです。

 その他の重要なこととして、ベトナム人私費留学生(、ネパール人私費留学生も?)は日本語学校で学習している時間だけでも相当の日本語学習時間勉強しているはずなのですが、そのわりにはそれほど日本語能力が伸びていない人が多い、という不思議な(?)現象があるようで、日本でベトナム人私費留学生の日本語学習、日本語補習のニーズがどのぐらいあるのか調査する必要があるかもしれないと考えています。本来は日本語学校や専門学校、大学の授業できちんと十分な日本語能力や専門的な能力や知見が身に付けられるのが理想だろうとは思っています。当社/当センターが把握している範囲でも、ベトナム人私費留学生に関しては、現状そのような理想的な状況とは相当かけ離れているのではないかと思われるので、解決の方向を見出すお手伝い、サポートができたら幸いであると思い、検討しています。

 別の問題として、日本の日本語学校に勤務されている複数の教師の方々のTwitter、ツイートを拝見すると、相当過酷な生活環境におかれているベトナム人私費留学生やネパール人私費留学生も少なくないようで、そのような人たちに対して何かできることはないのだろうのかということも考えているのですが、残念ですが考えが及ばず、それに関しては相当難しいのではないかと感じています。

 資金や場所がまかなえる、確保できるのであれば、当社/当センターのほうでも上記のような検討事項を実行に移したいとも思っているのですが、今年2月のエントリーでお知らせしていますように、当社/当センターは日本への私費留学が向かない人には勧めないという方針でやっていたことや偽造書類を用いた申請を行わないという原則でやっていたことのため、また、当社/当センターの実力不足のせいもあり、ベトナムの私費留学ブーム(の濁流?)にうまくのれずに、日本留学事業を休止することになってしまったこともあり、自社/自センター事業として行うのは困難な状況です。

 日本語教育業界内外の篤志家の方々や有志の方々、外国人留学生を支援、応援されたいという方々からご支援いただけるようでしたら、検討だけで終わらずに実現に踏み出せるかもしれません。もしご興味、ご関心をお持ちの方々がいらっしゃいましたら、当社/当センターのEmail:anhsaoinfo@gmail.comへご連絡いただければありがたく存じます。よろしくお願い申し上げます。まあ、当エントリーをお読みいただいている方々でそのような方々はなかなかいらっしゃらないかもしれないと思っていますが、思わずそのようなことを検討してみたくなったというぐらい、当社/当センターにとっては、今回の番組は興味深いものでした。

 最後になりますが、当エントリーが日本やベトナムで日本留学関連事業に関わっていらっしゃる方々、日本にいるベトナム人私費留学生のことにご関心をお持ちの方々、NHKの2017年12月5日放映の「クローズアップ現代+」の番組をご覧になった視聴者の方々、番組の制作に関わった方々のご参考になれば幸いです。

 よろしくお願いいたします。

関連情報

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4073/index.html
追いつめられる留学生 〜ベトナム人犯罪“急増”の裏側で〜

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171205/k10011247651000.html
日本語学校急増 5年で200校以上新設 背景に人手不足か

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20170228
当社/当センターのベトナムでの日本留学関連事業、一時休止のお知らせです

 当社/当センターの以前のエントリー、日本留学事業の一時休止のお知らせです。

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20160422
「国際貧困ビジネス」としての日本の日本語学校経営に関する一考察

 当社/当センターの以前のエントリーです。

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20150509/
2015年、最近のベトナムからの日本留学の状況

 当社/当センターの以前のエントリーです。

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