2016年11月15日NHK首都圏ネットワークでベトナム人留学生のことが取り上げられたようです

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2016年11月15日NHK 首都圏ネットワークでベトナム人留学生のことが取り上げられたようです

　大変すみません、昨日（2016年11月15日）、NHK 首都圏ネットワークという茨城県以外の関東地方に放映されているニュース番組で、ベトナム人留学生のことが取り上げられたようです。ニュースは6分前後で、「"学ぶより仕事"　留学生を取り巻く事情」と題されていました。

　当社/当センターのほうでニュースの内容をご紹介します（大変すみません、当社/当センターが気になった点を中心にまとめたものであり、詳細に関しては放映されたニュースをご確認いただければ幸いです）。

ニュースの開始時、「"学ぶより仕事"　留学生を取り巻く事情」と題されたテロップが出て、2人のアナウンサーの方々の背後にはJASSOのデータと思われる外国人留学生の国籍別割合を示したグラフが掲示されていました。
アナウンサーの方がグラフを示しながら近年ベトナム人留学生、ネパール人留学生が増えていることを指摘、学ぶよりも「働く」のが目的となった留学生が問題になっているということを述べていました（注：すみません、当エントリーをお読みの方々の多くはご存知のことかと思われますが、ニュースで「働く」と表現していたのは、やや正確を欠く言い方なのではないかと思っております。ニュースで「働く」と言っていたのは、学校で勉強する以外の時間でする資格外活動の範囲内でアルバイトをすることを指していたのではないかと思われます。外国人留学生が正式に就職して日本国内で会社員として働くということではないでしょう）。
今回のニュースの取材場所である東京都新宿区の新大久保駅周辺が映し出され、新大久保駅の駅内でベトナム語のアナウンスが流されている様子や駅周辺にベトナム料理レストランが散在している様子がナレーションとともに紹介されていました。
約550人外国人留学生が在籍、150人超がベトナム人留学生という日本語学校の授業風景が映し出されて、2人のベトナム人留学生に留学の目的を尋ね、1人はベトナムでの日系企業への就職、もう1人は観光の会社をつくりたい、と答えたところが放映されていました。
ベトナム人留学生が増えた背景にベトナムへの日系企業の進出があるという説明がされ、（おそらく別のニュースや番組等を作成するときに撮影された）ベトナムの光景が流されていました。
再び、前述の日本語学校が映し出され、校長を名乗る中年女性の方がインタビューに応じられていました。
（放映された日本語学校とは別の日本語学校に通っている）「ナムさん（仮名）」というベトナム人留学生が自分と同居する友人と住む部屋の様子が映し出され、その留学生たちが毎月20万円ぐらい稼いでいること、ベトナムに仕送りしている人までいるということがナレーションで説明されていました。続いて、そのベトナム人留学生が自室でインタビューに答えているところ（ベトナム語で回答していたようです）が映し出され、その合間にその留学生がアルバイトを2か所掛け持ちしており週50時間前後アルバイトしていること、法律で定められている週28時間のアルバイト時間の制限を超えていること等がナレーションで説明され、わかりやすく図示されていました（注：学校の長期休暇期間中を除き、日本の法律では外国人留学生の資格外活動によるアルバイトは1週間28時間以内、ということが定められています）。
アナウンサーの方は、外国人留学生が留学生という立場を「働くためのパスポート」として利用しているのではないか、という説明をされていました。
一般財団法人国際教育交流フォーラムの堀江学氏のインタビューでは、（ベトナムの）問題がある斡旋業者が日本に行けばアルバイトがいっぱいできてお金が稼げると煽っている、というようなご説明をされていた場面が放映されていました。
アナウンサーから、法律を守ってまじめに勉強している留学生もいることの説明があり、ベトナム人留学生以外にも「働く」（注：前述のように、資格外活動のアルバイトのことかと思われます）ことが目的になっている外国人留学生が存在しているというようなことも解説され、留学生を取り上げたニュースが終了しました。

　昨日（2016年11月15日）のNHKのニュースは、わかりやすく伝えられてはいたものの、踏み込んだ内容ではなく、ある意味無難な取り上げ方がされていたように思っております。日本の日本語学校は全国に数百校あり、その中には問題がある学校もけっして少数とは言い難いようなのですが、そのような日本語学校側の問題点に関してはまったく（ほとんど？）触れられていなかったように思われました。もしかしたらニュースの前半に出演された日本語学校関係者の方々に対する配慮等もあったのかもしれませんが。

　当社/当センターは、昨日（2016年11月15日）の首都圏ネットワークのニュースが、ほとんど外国人留学生と接点をお持ちではない方々、外国人留学生の私費留学が抱えている問題点をまったくご存じなかった方々のご参考にはなっただろうとは思っており、そのような点では有益だったのだろうと考えております。しかし、その一方で、日本国内の日本語学校もきちんと良心的に経営、運営されているところもある一方で日本語学校の本分から逸脱しているのではないかと思われるところもあるようであり、ニュースでは後者のタイプの日本語学校の抱える問題点をまったく（ほとんど？）指摘できていなかったということはあり、大変残念に思いました。堀江学氏からお知らせいただいたところによると、NHKのニュースのためにNHKのスタジオに出向かれて45分程度お話されたとのことでしたが、ベトナムの留学エージェントの問題点を指摘されている箇所だけが放映で使われたということのようで、（ニュースの制作に関わった関係者の方々には大変失礼ながら、）当社/当センターはニュースのストーリーを構成するのに都合が良いところだけを摘み食い的に利用されたのではあるまいかと思ってしまいました。

　実は、当社/当センターは、ニュースを取材されていたNHKの記者の方からメールでご連絡をいただいており、その記者の方は、下記のエントリー、

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20160422
「国際貧困ビジネス」としての日本の日本語学校経営に関する一考察

等もご覧いただいているということであり、『ベトナム人留学生を取り巻く実情について多角的に取材してお伝えすることで現状の改善に資することができればと考えております』というお話でしたので、メールで若干のコメントや情報提供、多少のサポートをさせていただきました。

　そのようなことがありましたので、率直に申し上げて、昨日のニュースを拝見して、取り上げ方が浅いものに留まってしまっていることにがっかりしてしまいました。

　ニュースでは「ナムさん（仮名）」として登場したベトナム人留学生は、（アルバイトが主目的ではあるようであるものの）私費で首都圏の日本語学校に通っているとのことで、1年間60万円から70万円ぐらいの学費を支払って日本に留学しているのではないでしょうか。記者の方には「ナムさん（仮名）」や同居する友人たちがそのけっして安くはない学費に見合うだけの日本語能力を身に付けられそうなのかということや日本語学校でほんとうに日本語を勉強しているのか等に関してもきちんと確かめていただき、ニュースでそのような面も取り上げていただくことができていたならば、より良い内容になったのではないか、と思っております。

　当エントリーが日本やベトナムで日本留学関連事業に関わる方々、来日しているベトナム人私費留学生のことにご関心をお持ちの方々、そして、NHKの「首都圏ネットワーク」のニュース（2016年11月15日放映）をご覧になった方々、ニュースの制作に関わった方々のご参考になれば幸いです。　

　よろしくお願いいたします。

当社/当センターまでお気軽にご連絡、お問い合わせください

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