前代未聞のニセ日本語学校がベトナムの日本留学エージェント、留学希望者を騙す事件が発生
前代未聞のニセ日本語学校がベトナムの日本留学エージェント、留学希望者を騙す事件が発生
Anh Sao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムで翻訳・通訳、コンサルティング・リサーチ、教育・研修等のサービスをご提供しています(日本での業務展開も準備中、一部展開中です)。
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までよろしくお願いいたします。
2014年(もしかしたら、2015年?)に東京都で設立された会社が「杉並外国語学院」という名の日本語学校を自称し、ベトナムの日本留学エージェントを騙し、日本への留学を希望するベトナム人約70人から1人当たり約100万円の学費等の諸経費を送金させた後、連絡が取れなくなっているようである、ということが報じられているようです。
詳細は、今日(2019年3月25日)掲載された西日本新聞の下記の記事をご覧ください。
https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/496842/
留学詐欺?ベトナム人70人被害か 学納金100万円納めた後、連絡とれず 東京の日本語学校
当社/当センターが調べてみたところ、件の日本語学校(と自称している会社)のウェブサイトはすぐに見つかりました。下記のURLです。
http://suginami-gakuinn.com
杉並外国語学院
上記の記事で取り上げられている日本語学校(と自称する会社)のウェブサイトを大ざっぱに一読しました。大ざっぱに一読したかぎりでは、日本語が多少おかしいところがあるとは思いましたが、(機械翻訳などを利用したウェブサイト等によく見られる)ひどい日本語が使われているとまでは言えないようです。ベトナムの日本留学エージェントで騙されたところが出ている(ようである)のは、けっしておかしいことではないのかもしれない、と(初見で)思いました。
西日本新聞は、今日(2019年3月25日)、上記の記事とは別の当件に関する記事も掲載しているようで、その記事にはさらに詳しい状況が報じられています。
下記の記事です。
https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/496846/
画像切り貼り「偽サイト」で信用演出 留学詐欺疑惑会社 所在地はマンション 実態なし
上記の2番目の記事を以下に引用します。
学院のホームページ(HP)の内容を調べると、インターネット上から無断盗用した画像や文章で作られた偽サイトであることが分かった。「だまされた留学仲介業者は10社以上」との情報もあり、被害拡大が懸念される。
学院が偽造したとみられる「在留資格認定証明書」の画像は本物と同じ書式で、プロの仲介業者にも見分けが付かない精巧さ。画像を信じて仲介業者は学納金を送金し、証明書の原本が届き次第、日本大使館にビザを申請する予定だった。
海外の仲介業者が日本語学校の信頼性を確かめる場合、主な手段はインターネットだ。学院HPには「充実した施設」とのうたい文句で、机が整然と並ぶ広い教室の画像に「耐震性のある自己所有の校舎」「24時間休日も使える自習室、PCルーム」「学生ラウンジ、駐輪場完備」との説明も添えられている。
だが、学院の所在地とされる杉並区のマンションを訪ねると、HPのうそは一目瞭然。建物は古く、自己所有の校舎も24時間対応の部屋もない。2階フロアの扉にワープロ文字で「教職員室」「第一教室」「図書室」と記した紙がテープで貼られているだけだった。
呼び鈴を鳴らしても応答はなく、学生や教職員の姿もない。1階に入居する飲食店員は「中国人がフロアを買い取り、1室だけ中国人に貸しているとは聞いたが開校された実態はない」と証言する。2年前から2階に住む中国籍の女性は「人の出入りは一度も見たことがない」と言う。
この学院HPに使われている広い教室は一体どこの写真なのか。画像検索すると、ネット上に広く出回っている画像と一致した。さらに校長や教職員として掲載された顔写真や「学生寮」「アルバイト先」とされた画像は、確認できただけで日本語学校や専門学校計8校、不動産会社や求人会社計10社のHPから盗用されたものだった。
文章も、都内の有名私立高や九州の私大など7校のHPからコピーしていることを確認。寄せ集めの画像と、日本人が読めば怪しいと気付く不自然な文章ではあるが、福岡の日本語学校関係者は「学院HPは一見まともに見える。日本語が多く、外国人がうそを見抜くのは難しい」とみる。
当社/当センターが確かめた範囲でも、
杉並外国語学院
の一部の写真や一部の文面は、他の日本語学校や専門学校から借用したものであるように見受けられました(もっとも、日本の日本語学校や専門学校のウェブサイトにある文章や写真は、非常に似通ったものが多いように思われ、また、学校の日本語教師や講師の写真なども在籍していない教師、講師の写真を使い回していたケースを数ケース以上知っていることもあり、当社/当センターは、杉並外国語学院で使用されている画像や文面が盗用と断定できるものなのかどうかはよくわかりませんでした)。
上記の2番目の記事には、『偽造したとみられる「在留資格認定証明書」の画像は本物と同じ書式で、プロの仲介業者にも見分けが付かない精巧さ』だった、とあります。
当社/当センターの推測に過ぎませんが、精巧に偽造された在留資格認定証明書と同様に、法務省の告知校であることを証明する書類も偽造書類がつくられ、偽造書類を提示、または、偽造書類のコピーを渡す等のことで、ベトナムの日本留学エージェントを騙した可能性があるのではないかと思いました。
愛知県で行政書士をされている柴田氏は、下記のツイート
技能実習制度だと、監理団体が許可持っているか、送り出し機関は認定されているか、処分されてないかなどを双方確認するものですが、留学エージェントと日本語学校はそこらへんが甘いのかも知れませんね https://t.co/roWSj5IhNm
— OfficeShibata@5月台湾出張 (@officeshibata) March 25, 2019
で、日本の技能実習制度の場合、日本の監理団体が許可を持っているかどうかということ、(ベトナムや送り出し国の)送り出し機関は認定されているかということ、また、処分されてないかということなどを双方が確認するものだが、日本留学エージェントと日本語学校はそのあたりのところが甘いのかもしれない、ということをご指摘されています。柴田氏のご指摘されている点は、おそらくその通りなのではないかと思われます。
今までは狎れ合いでやってきたようであるベトナムの日本留学エージェントと日本の日本語学校(や専門学校)との関係ですが、このような事件が発生したことで多くのベトナムの日本留学エージェントは日本の日本語学校(や専門学校)への対応を変えざるをえなくなるのかもしれません。
入国管理局の担当者の方のご発言はあまりにも冷淡では?
西日本新聞の1番目の記事によると、西日本新聞の取材に対して、入国管理局の担当者の方(方々)は、
法務省入国管理局入国在留課は「(学院は)告示校ではなく、留学生受け入れはできない。もし事実であれば刑事事件になるが、うちが介入できる話ではない」
とご発言されたようです。おそらくご自身の業務の担当外、管轄外の事件だということをおっしゃりたかったのだろうとは推測していますが、日本の日本語学校を自称する会社の詐欺で、ベトナムの日本留学エージェントだけではなく、ベトナムにいるベトナム人の被害者が実際に70人前後出ている(おそらく)前代未聞の事件のようであり、もう少し親身なご対応、ご発言はできないものかと感じてしまいました。(悪い意味で)お役所的といえばお役所的なご発言なのでしょうが、ずいぶんと冷淡なご対応、ご発言ではないかと思わされました。
日本語学校業界「日本語教育振興協会」の関係者のご発言はまるで他人事?
日本語学校の業界団体(の1つ)である日本語教育振興協会
https://www.nisshinkyo.org/
の関係者の方は、西日本新聞の2番目の記事によると、
日本語教育振興協会の高山泰専務理事は「少なくとも『告示校』かどうか、手軽に検索できる公的な情報提供の仕組みを構築すべきだ」と提案している。
とあり、また、西日本新聞の1番目の記事によると、
日振協の高山泰専務理事は「ベトナムとの関係悪化や被害の拡大を防ぐため、まずは注意喚起が必要だ」と話している。
とご発言されたようです。高山氏という方のコメント、数年前の日本語教育振興協会に加盟していた日本語学校が引き起こした事件に対するコメントもそうでしたが、今回のコメントもおよそ当事者意識が感じられない、他人事のようなご発言ではないか、と思いました。
多くの方々がご存知のように、東日本大震災後の2011年、2012年以降、日本各地でのベトナム人私費留学生の急増は、最近数年間のコンビニエンスストアの店頭でアルバイトするベトナム人私費留学生やヤマト運輸などで夜勤でアルバイトするベトナム人私費留学生を出現させ、現時点(2019年3月の時点)ではそのようなことがだんだんと当たり前のようになりつつあり、ある意味、社会現象と言ってもよいのではないかというような状況ですが、現時点(2019年3月下旬)においても、日本語教育振興協会のウェブサイト
https://www.nisshinkyo.org/
日本語教育振興協会
は、依然として、ベトナム語に対応していないようです。最近6、7年はベトナム人の留学希望者、留学生、日本留学エージェントからのアクセスも多いであろうにもかかわらず、ご自身の所属されている団体のウェブサイトがいまだにベトナム語未対応で、先ほどのようなご発言をされているのは、業界団体としての怠慢を棚上げしているように思えてなりませんでした。
当社/当センターの事件に対する(現時点の)所感
当社/当センターの日本人スタッフは、先ほど下記ウェブサイトを再度大ざっぱに読みました。
杉並外国語学院
大ざっぱに読んだ範囲では、ウェブサイトの日本語の一部がおかしい、一部の表現が中国語の借用表現(っぽい表現)で変である、と思うぐらいの認識ぐらいしか(初見では)持てなかっただろうと思っています。
以前は比較的長期間日本留学関連事業をしていた当社/当センターからしても、日本の日本語学校を称する会社が、ベトナムの留学エージェントを手玉にとり、約70人のベトナム人留学希望者から100万円前後のお金を受け取り、行方をくらます事件が起きるとは思いませんでした。
わかっていたことではありますが、日本の私費留学業界の魑魅魍魎ぶりはすごい、とあらためて実感させられました。
最後になりますが、この事件で被害に遭われたベトナム人留学希望者の方々とご家族の方々が日本の日本語学校を称する会社による詐欺で取られた100万円前後のお金が少しでも取り返せますよう、少しでも救済が受けられますよう、お祈り申し上げます。
関連情報
法務省のウェブサイト内にある「告示された日本語教育機関等」(PDFファイル)
http://www.moj.go.jp/content/000107266.pdf
告示された日本語教育機関等
法務省の上記のリストに掲載されていない日本語学校は、日本国外から留学生を受け入れることができないという規則があります。「杉並外国語学院」は掲載されていないようです。
当社/当センターは、下記のエントリー
https://anhsao.hatenablog.com/entry/20170228/p1
当社/当センターのベトナムでの日本留学関連事業、一時休止のお知らせです
でご案内したように、約2年前に日本留学事業を休止して再開の見込みを立てられないでいるのですが、現在(2019年3月)でも、上記のような事件が発生してしまうような状況を見て、当面の間、再開の見込みは立てられないのだろう、と感じさせられました。しかたがありません。
日本語学校の同業者団体である日振協のウェブサイトでベトナム語版による学校情報が提供されていない件に関して、そのことを指摘する当センター(の日本留学関連アカウント)のツイートの一例を挙げておくことにします。
ベトナム人の方に日振協という日本語学校関連団体に関してお問い合わせをいただきました。ウェブサイトは以下のURLです。残念ですが、ベトナム人留学生が増えているにもかかわらず、ベトナム語の説明はありません。 http://t.co/v6MCTzKny8 財団法人 日本語教育振興協会
— のぞみ日本留学センター NOZOMI (@duhocnozomi) January 11, 2014
一般財団法人日本語教育振興協会の発表データ http://t.co/2rzq2FEeaY によるとベトナム人留学生数は中国に迫りつつあるようですが、その一方で、日本語教育振興協会のウェブサイトにベトナム語の案内は見当たらないようです。 http://t.co/xvNRxjEsFI
— のぞみ日本留学センター NOZOMI (@duhocnozomi) February 18, 2015
ベトナム人留学生を募集しているにもかかわらずベトナム語の学校資料さえ用意していない学校があることに関しては、日本語学校の同業者団体である日振協の怠慢も責任大だと思います。日振協のウェブサイトにはベトナム語版による学校情報がいまだに提供されていないようです。 https://t.co/gv0QodtPeh
— のぞみ日本留学センター NOZOMI (@duhocnozomi) January 15, 2018
以前のツイートの繰り返しですみません、当センターは数年前にある有力日本語学校の経営者の方を通じて、日振協で日本語学校データベースのベトナム語版を作成、公開することをご検討いただけないかとお願いしたことがありますが、ご回答さえいただけず、現在も学校情報のベトナム語版はないようです。
— のぞみ日本留学センター NOZOMI (@duhocnozomi) January 15, 2018
当社/当センターのご連絡、お問い合わせ先
ご連絡は当社/当センターのEmail:anhsaoinfo@gmail.com
までよろしくお願いいたします。
今後とも当社/当センターをよろしくお願いいたします。