ベトナム(特にベトナム北部)での私費日本留学を取り巻く荒れた現状

 Anh Sao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムの首都ハノイベトナム北部で翻訳・通訳、コンサルティング・リサーチ、教育・研修等のサービスをご提供しています。

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ベトナム(特にベトナム北部)での私費日本留学を取り巻く荒れた現状

1. ベトナム人留学希望者が日本国内の日本語学校に私費留学する場合に関する基本的情報

 最初に、大ざっぱにですが、ベトナム人留学希望者が日本国内の日本語学校に私費留学する場合に関する基本的な情報をまとめておきます。(大変すみません、やや大ざっぱな点が目立つ、または、大ざっぱにまとめ過ぎてしまっているかもしれません。日本語学校関係者の方々や日本留学業界関係者の方々、何かお気づきの点がございましたら、ご指摘いただければありがたく存じます。よろしくお願いいたします)。

 当エントリーをお読みいただいている多くの方々がご存知のことかと思われますが、近年、特に東日本大震災が発生した2011年以降に顕著な傾向として、日本の各地の日本語学校に多くのベトナム人留学生が留学するようになってきております。最近数年間ベトナムから日本へ留学するパターンとしては、日本国内の日本語学校に私費で留学し、その後、専門学校や大学に進学する、というパターンが一番多いようであり、ここ数年、1年間に数千人から一万人強日本へ留学しているベトナム人留学生の大半がそのパターンに属しているようです。

 ベトナム人留学希望者が日本国内の日本語学校に留学する場合、奨学金が授与されるケースや学費の減免が適用されるケース等を除き、日本語学校の1年間の学費として60万円から70万円程度、初年度は選考料や入学金もかかることがほとんどなので、初年度の支払い額は70万円弱から80万円前後かかることになります。また、奨学金が授与されるケースを除き、毎月数万円から十数万円かかる生活費もベトナム人留学生が自分たちで負担しなければなりません。そのため、日本への私費留学は(多くのベトナム人にとって)相当なお金がかかることということがあり、ベトナム人で日本に留学したいと思っているすべての人がすべて日本に私費留学できるというわけではありません。

 ベトナム人留学希望者が日本国内の日本語学校に留学する際は、ベトナム人留学希望者当人の個人情報や学歴に関する書類だけではなく、日本に留学するために十分な資金が用意されていることを証明する収入証明書や銀行の預金残高証明書等などの書類(総称する一般的に通用する用語や専門用語がないようですので、当社/当センターは便宜上経費支弁関連書類と呼んでおります)を数種類準備しなければならない、ということになっております。ベトナム人留学希望者が日本に留学するための留学資金を提供する人は経費支弁者と呼ばれており、多くの場合留学希望者当人の親、または、家族が経費支弁者になるケースが多いようです(経費支弁者はかならずしも当人の親や家族ではなくてもよいようなのですが、その場合は別途そのことを説明する書類を準備する必要があるようです)。必要に応じて、留学希望者当人の家族の個人情報を記載した書類、経費支弁者の個人情報や勤務先に関する書類等も準備しなければならない、ということになっております。ベトナム人留学希望者、家族が用意しなければならない書類は少ないケースでも合計10数種類に及び、(後述のような遵法精神に欠ける方法を取らずに)ウソをつかずにきちんとまじめに申請を行う場合は相当面倒で大変である、ということがあります。本来的には、ベトナムの日本留学会社、日本留学センターは、私費での日本留学のしくみを説明し、相談があった個々のケースに合致する日本語学校の情報を提供する情報提供者的・アドバイザー的役目、そして、10数種類(かそれ以上)に渡る申請書類作成をサポートするサポーター的・アドバイザー的な役割りを果たしている、ということになっております(後述のように、現状はかならずしもそうではなく、理想的な状況からほど遠い状況であることを示唆する点が少なくともいくつかはあるようなのですが)

 ほとんどの場合、ベトナム人留学希望者、家族、経費支弁者に関する10数種類(か、それ以上の)の申請書類は、ベトナムの日本留学会社、日本留学センター、日本留学エージェントを通じて、ベトナム人留学希望者が留学する予定の日本語学校に提出され、日本語学校の担当者のチェックを受けた上で日本語学校によっては、ほとんどチェックしないで提出してしまうところ、ベトナム語の書類に記載されていることがわかる担当者がいないために十分なチェックができずに提出してしまうところもあるようですが)、原則として所定の期日にその日本語学校がある管轄の入国管理局に提出されます(なお、日本語学校に提出を求められ、留学希望者、家族が用意して日本語学校に提出した10数種類(かそれ以上の)すべての書類が日本語学校によって入国管理局に提出されるとはかぎらない、というようなことがあるようなのですが、枝葉末節に近いことまで説明しなければいけなくなってしまうように思われ、煩瑣過ぎるように思われるため、説明は省略します)

 入国管理局の審査官は、結果の発表・通知が行われるときまでに、個々の申請書類を精査しそれぞれの申請者に日本留学の在留資格を与えてよいのかどうという判定を行う、ということになっているようです。外国人の日本への留学の場合、大多数の申請では書類審査のみで判定が行われるようですが、時には入国管理局から日本語学校に照会が行われることもあり、ベトナム人の申請やその他の一部の国の申請では、ケース・バイ・ケースで、(もしくは、その入国管理局のそのときの方針等により、)現地の留学希望者に電話調査を行うことにより確認が行われることもあるようです。

 数か月後、所定の期日(、または、所定の期日の後日)に、各地の入国管理局から日本語学校に、それぞれの申請が日本語学校への留学という在留資格を得られたのか得られなかったのかという判定が発表・通知されます。申請を行い在留資格が得られたケースは「交付」、在留資格を得られなかったケースは「不交付」と呼ばれているようです。

 日本の日本語学校からベトナムの日本留学会社、日本留学センターに個々の申請者に対する交付、不交付という結果が通知、連絡されます。その後、交付されたケースでは、学費の支払いや留学ビザの申請等々が行われ、特に問題ない場合は、日本語学校の授業がスタートする少し前に留学できることが決まったベトナム人が来日して、諸々の手続き等を完了して、晴れて日本語学校に在籍する留学生になる、というような次第です。

注記:

  • ベトナムに限らず本来的には現地の日本留学会社、日本留学センター、日本留学エージェントの業務は、基本的な役割は情報提供業務とサポート業務であるため、すべてのことが自力でできる人たちはそのようなサービスを必要だと思わないことでしょう。ベトナムからの留学希望者では非常に少数のようなのですが、インターネット等で日本語や英語、中国語で自分で情報を調べて、日本の日本語学校に直接連絡し、担当者とは日本語や英語、中国語、ベトナム語等でコミュニケーションを取り、自力で日本留学している人も実際に存在しています。
  • もう1点、ベトナムでも日本留学試験(EJU)という試験が1年に2回行われていて、その日本留学試験(EJU)という試験で高得点を取ることができれば日本の大学などの高等教育機関に直接入学することが制度上は可能なようなのですが、そのようなことは日本語を学習しているベトナム人にもほとんど知られていないようです。在ベトナム日本大使館や主催団体の日本学生支援機構(JASSO)の広報がそれほど十分な効果を発揮していないようである等のことが一因のようで、ベトナムでの申し込み者数、受験者数はともに人数が少ないようであり、例えば、2016年6月に実施された試験では、平成28年度日本留学試験(第1回)応募者数および受験者数によると、ベトナムハノイ市の試験会場では申し込み者数、受験者数はともに100人を下回っており、ホーチミン市の試験会場はハノイ市よりは多いものの、申し込み者数が177名、受験者数が162名しかいなかったようです。

 大変すみません、当項「ベトナム人留学希望者が日本国内の日本語学校に私費留学する場合に関する基本的情報」ですが、後日、当社/当センターのウェブサイトのベトナムでの日本留学関連事業に修正、補足等を行った上で移動させるかもしれません。あらかじめご了承いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。



2. ベトナム(特にベトナム北部)での私費日本留学を取り巻く荒れた現状

 当社/当センターは、日本の日本語学校ベトナム人留学生のご面倒を見られている教職員の方々から、日本語学校の現場からの声として、

  • おそらくまじめに日本語を勉強しようと思って来日したであろうベトナム人留学生までもが、十分な資金がないまま来日したために日本語学校の学費や生活費を稼ぐためにアルバイトに追いかけられる生活にはまってしまい、出席率を稼ぐために学校には何とか来るものの、日本語の授業にはあまり身が入らない様子になっていく
  • 日本語学校によって、また、クラスによっては、夜勤のアルバイトをしている留学生は(ベトナム人に限らず)授業時間中はほぼ机に突っ伏して寝ているだけであるのを見て、自分たち教職員はどうすることもできないという無力感にとらわれ、悲しくなる
  • 日本語学校に入学した当初から、日本語を学習する意思や意欲をまるで見せず、アルバイトだけしに日本へ来たのではないかと疑いたくなるような留学生とは思えないベトナム人やネパール人が学校に複数名在籍しており、日本語学校そのものも何だか出稼ぎ目的の外国人労働者を受け入れる収容所や収容施設のような殺伐とした雰囲気を醸し出している

というようなお話をお聞きしております(きちんとしっかりとベトナム人留学生を受け入れている少数の日本語学校ではそのようなことはほとんどないか、少なくとも際立った形で起きていないようですが)。

 ベトナムから日本への私費留学を取り巻く現状は東日本大震災以降にベトナム人留学生の急増ということがあり、それほど大きく変化していない点もあれば、3〜5年前の2011年〜2013年とは2016年とで相当大きく変化した点もあります。大きく変化したことの1つとして、ベトナムでも「日本で勉強しながらの高額アルバイト」を信じて不幸な目にあったベトナム人留学生、元留学生のケースがテレビのニュースや新聞記事に度々取り上げられるようになったこと、2014年6月(5月?4月?)以降は在ベトナム日本大使館によりウェブサイト等で注意喚起を行われるようになったということがあり、仮にベトナム人留学希望者が私費での日本留学や日本語学校のことを自分で調べて、現在ベトナム語で提供されている玉石混合である各種の日本留学に関する情報もきちんと1つ1つ丁寧に確かめていくことができるのなら、相当のことがわかるようになってきています。特に最近1、2年、私費留学するための十分な資金がないにもかかわらず「日本へ行けば何とかなる」と甘い見込みで来日したであろうベトナム人留学生に関しては、留学生当人がベトナムにいたときにきちんと情報収集して適切な判断をするということを怠っているということが根本にあるわけであり、少なからぬベトナム人留学生が本分である日本語学習に打ち込めずに「アルバイト漬け」になってしまっていることは、ベトナムできちんと自分で調べないまま甘い考えで来日してしまったことが一因であることも多いようで、そのことに対して該当する留学生自身にまったく責任がないとは言えないのではないか、と思っております。ただ、そのこととは別に、そのようなベトナム人留学生のことは大変気の毒だと思っており、そのような状況が発生してしまっていることを大変残念に思っております。それとともに、義侠心にかられて、または、職務上、現場でそのような留学生のご面倒をみられているまじめな日本語学校の教職員の方々のご苦労、ご心労をお察しいたします。

 一昨年(2014年)から今年(2016年)あたりにかけて、ベトナム人留学生全体の中では少数ではあるものの、一部のベトナム人留学生が、当人が望まない形、または、不本意な形で、日本での日本語学校や専門学校、大学を辞めさせられる(辞めるように追い込まれる?)等のこと、専門学校や大学に進学できない等のことで、ベトナムに帰国している(帰国させられる?)、ということが起きてしまっているようで、そのようなケースは(例外的なケースを除き、ほとんどのケースで)誰が見てもわかりやすい(言い方は悪いですが)「日本留学の失敗例」であることもあり、日本への私費留学の負のイメージがじわじわと拡散してきていることを実感させられることがあります。

 ところで、(日本国内の日本語学校の関係者の方々や日本語学校業界のことをよくご存じの方々はそのように思われないかもしれませんが、)当エントリーをお読みの多くの方々は、日本へ留学するために少なくとも10数種類かそれ以上書類を提出することになっていて、私費留学が可能かどうかという入国管理局による審査も行われているのに、日本語学校の学費や生活費をまかなうために日本語の勉強さえおろそかにしてアルバイトばかりしている(アルバイトせざるをえない?)ベトナム人留学生がどのように日本語学校に留学できたのか疑問に思いませんか。

 当社/当センターでは、実は大きな構造的な問題が存在していること、そして、日本では考え難いようなことが実際にベトナムで行われてしまっている(ようである)こと、2つのことが絡み合って起きてしまっていることではないか、と思っております。


 大変すみません、当社/当センターでは、ベトナム人留学希望者の紹介に際して、当社/当センターがベトナム人日本留学希望者の手続きに関して重要な事項であると認識し厳守するように努めているいくつかの事項があり、詳細は「ベトナムでの日本留学関連事業」中の「ベトナム人日本留学希望者の手続きに関する当センターの基本方針」をご覧いただきたいのですが、その事項の1つに下記のような事項があります。

  • 当センターでは、ベトナム人留学希望者の経費支弁者に十分な資金がないにもかかわらず銀行預金証明サービスを利用する申請、偽造書類を利用する申請は行いません。

 当社/当センターが日本留学関連事業を始めた当初から現在まで継続して遵守していることの1つです。

 当エントリーをお読みいただいてる方々の多くは、当社/当センターが上記のような(日本や多くの先進国では)当然であろうことをわざわざ明記しているということを不思議に思われるのではないでしょうか。そのようなことをわざわざ宣言しなければならないのは、次のようなことがあるからなのです。


 大変残念なことだと思っておりますが、現時点(2016年の時点)で当社/当センターが把握しているかぎりでは、少なくとも何年か前からベトナム(特にベトナム北部)の多くの日本留学会社、日本留学センターで偽造書類を利用する申請、見せかけの銀行預金証明サービスを利用する申請が相当数行われているようであり、そのような偽造書類等を利用した申請で日本に留学したベトナム人留学生が多数いるようです。

 極端なケースでは、ベトナム人留学希望者の経費支弁者が十分な日本留学の資金の用意ができない経済状態であるという事実があるようであるにもかかわらず、何らかの方法を「利用」(「悪用」?)することによって十分な銀行預金があるという証明書が取得できており、形式的にはすべての書類が揃っており書類上は申請書類の矛盾が見つからないために、各地の入国管理局による形式的な審査で申請が交付され、実際に日本へ留学できてしまっている、というようなケースが出てきてしまっているようです。複数の日本の日本語学校関係者の方々から、そのようなケースは1例や2例にとどまらず、少なからぬベトナム人留学生のケースで存在してしまっているようです(付言しますと、2016年現在はネパール人留学生や他の発展途上国の留学生でもそのようなケースが少なからず存在しているようであり、また、二十年前から十数年前にかけては中国人留学生でもそのようなケースが多数存在していたようです)。

 当社/当センターが知っている個々のケースや複数の日本語学校関係者の証言等だけからベトナムから日本への私費留学の全体的な傾向について断言することは大変難しいだろうとは思っておりますが、当社/当センターが知っている範囲で、ベトナムの私費留学においては偽造書類等を利用した申請が相当広範に普及して一般化して(きて)いるように推測可能である、ということぐらいは申し上げることができるかもしれません。

 もちろん、ベトナムの日本留学会社、日本留学センターでも、おそらく少数でしょうが、しっかりとまじめに着実に1件1件申請を行っているところも複数あるようです。しかしながら、現時点(2016年の時点)で当社/当センターが把握している情報によると、前記のような会社、センターや当社/当センターのようにウソをつかずにまじめに丁寧に申請を行っているところは少数派で、ベトナムの多くの日本留学会社、日本留学センターで、偽造書類を利用する申請、そして、見せかけの銀行預金証明サービスを利用する申請が常態化しつつあるようです(「、、常態化しつつあるのではないかと推測できる複数の有力な証拠や証言が存在しているようです」と述べるほうがより正確かもしれません)


 2012年から2013年にかけては、一部の地域の入国管理局の審査や調査により、少なからぬベトナムの日本留学会社、日本留学センターが偽造書類を利用していたことが発覚し(たということがあったようで)、多数の申請が不交付という結果になった、ということもあったようなのですが、ベトナムの多くの日本留学会社、日本留学センターはそのような失敗から「学習した」か、失敗を「他山の石」とすることで、「申請書類を通すためのノウハウ、方法を構築する」ようになり、現時点(2016年の時点)では、多数の日本留学会社、日本留学センターが、偽造書類等を利用した申請であっても、偽造書類が露見しないように書類上は矛盾がないように注意して申請書類を作り上げるノウハウ、手法を確立して(きて)いるようです(より正確には、「、、ノウハウ、手法を確立して(きて)いるようであると推測されます」が適切かもしれません)

 当社/当センターでは日本留学事業を開始した当初よりベトナム人の留学申請の際に偽造書類を利用すべきではないと考えているのですが、ベトナムの他の多数の日本留学会社、日本留学センターで偽造書類を利用する申請、見せかけの銀行預金証明サービスを利用する申請が常態化しているようである(と推測される)ことの背景には、そのようなことを行っている多数の日本留学会社、日本留学センター関係者の遵法精神の希薄さがあるのではないかと思っております。それとともに、留学希望者や家族に本物の書類をきちんと準備してもらい提出してもらった書類をきちんとチェックするという形で書類を準備するよりは、(主に日本留学会社、日本留学センターがガイダンスする形で)偽造書類や見せかけの銀行預金証明サービスを利用して書類を揃えるほうが、はるかに時間や労力がかからない(ようである)ということが(も?)あるのではないか、と考えております。

 特に1回の申請で百人前後から数百人のベトナム人留学希望者の申請を行うベトナムの大手の日本留学会社、日本留学センター、日本留学エージェントは、(パートタイムのスタッフを相当人数臨時増員したとしても)限られた人員で処理できないほどの大量の申請書類の処理・翻訳・チェックを相当限られた期間内に行う必要がある(ようである)ため、時間や手間が相当かかる本物の書類、本当の書類を利用した申請が(処理能力や処理時間、人員等の制約もあり)相当難しい、というような事情があるのかもしれません。当社/当センターからすれば、そのようなことまでして多人数の申請書類を日本留学会社、日本留学センター主導の下で揃えることは本末転倒でありするべきことではない、と思うのですが、他の多くの日本留学会社、日本留学センターの思考形式や発想は、おそらく当社/当センターの見解や方針とは大きく異なっているのだろうと思われます。


 当社/当センターが知っている範囲では、数年前はかならずしもそのようなベトナム人留学希望者ばかりではなかった(ような)のですが、一昨年(2014年)か昨年(2015年)あたりぐらいから、日本に留学するため、来日のためには偽造書類での申請も辞さないと考えるベトナム人が増えてきているようであるということ、そして、留学希望者や家族が自分たちで本物の書類を準備するより日本留学会社、日本留学センターに偽造書類を揃えてもらうほうが手間がかからなくてよいと思う手抜き志向のベトナム人が多くなってきているということがあるのではないか、と実感しております。

 当社/当センターは前述のように、偽造書類の利用をお断りしているのですが、ここ2年ぐらいは当社/当センターに問い合わせをしてきた、または、手続きを依頼しようとしてきた複数のベトナム人留学希望者から「△△センターは偽造の書類で何の問題もなく他のベトナム人を日本へ留学させている。どうしてこんな面倒なことをやらせるのか?」、「知り合いの××が日本留学の手続きした○○日本留学会社は書類を全部準備してくれた」、「役所の担当者が書類を発行してくれるわけがないから、偽造の書類を使って手続きしたい」などの(当社/当センターからすれば)無茶な要求を突き付けてこられ、一部のケースでは長時間ごねられる等の迷惑を被ったということもあって、ここ1、2年はベトナム人留学希望者の問い合わせや連絡があった初回のときから、当社/当センターは偽造書類の利用をお断りしていることを伝えることにしておりますが、そのようにすることで迷惑を被ることこそ少なくなったものの、元々少なかった当社/当センターに手続きを依頼してくれるベトナム人がさらに減少してしまうという事態に陥っており、大変困っております。

 実際、すでに述べているように、他社、他センターでの偽造書類等を利用した申請であっても日本へ留学できてしまっているケースがすでに多数存在してしまっているようであり、日本留学を希望するベトナム人も自分の身近にいる知り合いや友人が偽造書類等を利用した申請で日本へ留学できたケースを実際に知っていることもあり、偽造書類の利用に対してそれほど大きな抵抗感を感じていない人たちが多いようです。また、一部の人たちだけでしょうが、日本に留学しているベトナム人や日本へ留学する予定のベトナム人で、偽造書類の利用に対する罪悪感や嫌悪感が比較的薄いどころか、偽造書類等を利用することに何のためらいも感じない人たち、偽造書類や見せかけだけの銀行預金証明サービス証明を利用することがそもそも悪いことだという意識や発想さえ持っていない(ようである)人たちまで(出てきてしまって)いるようです。


 ベトナムや一部の国、地域では外国人の留学希望者や家族、経費支弁者が実際に置かれている状況と申請書類に記載されている事項とが相当大きく異なっているケースが少なからずあるようなのですが、現時点で当社/当センターが知り得た情報によると、外国人の日本留学の申請の審査を行う各地の入国管理局では、主に書類上の形式的な整合性を確認する書類審査を行っているようであり、形式的にすべての書類が揃っていて、書類上の矛盾がなければ、原則的には申請が交付される、ということになっているようです。

 日本各地で留学申請の審査を担当されている審査官の方々には大変失礼なご指摘かもしれず申しわけなく思っておりますが、実際にベトナム人留学希望者の経費支弁者が十分な日本留学の資金の用意ができない経済状態であるのに日本へ留学できてしまっているケースが少なからず存在している(ようである)ということは、形式的な書類上の審査だけ判定することには一定の限界があるということが露呈してしまっている、ということが言えるのではないでしょうか。もっとも、そのことに関しては、けっして少なくはない日本の日本語学校ベトナム人を募集し受け入れる際にベトナム人留学希望者の経費支弁者に経費支弁能力があるかどうかを納得がいくまできちんと十分に調べないで受け入れてしまっているようであることのほうを問題視すべきであるかもしれず、さらに言うならば、両親や経費支弁者が十分な日本留学の資金の用意ができない経済状態にあり日本語や専門分野を学習する意思も意欲も十分ではないベトナム人までをも多人数受け入れ(てい)る国際貧困ビジネス的な視点で学校経営、学校運営を行っている一部の日本語学校の存在こそがより大きな問題なのではないか、と思っております。


 そのようなことをすることは当社/当センターの日本留学事業の方針から考えてふさわしくない行為のように思われますし、万が一間違えた情報を流布してしまうことでご迷惑をおかけするのも本意ではありませんので、当エントリーでは学校名は掲載しませんが、複数の日本語学校の関係者の方々から、自校、または、他校の例として、

  • 複数のベトナムの日本留学会社、日本留学センターの紹介で日本語学校に受け入れたベトナム人留学生の半数以上の申請で、申請書類の一部に偽造書類が含まれていた(ようだ)
  • ある日本留学会社、日本留学センターから受け入れた留学生の申請書類では、ほぼすべてのケースで偽造書類が利用されていた(ようだ)
  • 在籍しているベトナム人留学生からそのベトナム人の申請書類は留学理由書を含むほぼすべての書類が日本留学会社、日本留学センターによって作成されたものであることを聞かされて仰天した
  • 偽造書類ではなく本当の書類を提出してもらってもほぼ問題なく日本へ留学できたと思われるケースに関しても偽造書類が利用されていたということがあったようで、日本語学校在籍時、そのことをベトナム人留学生当人から担当者が知らされて、担当者があらためて再度書類を注意深くくまなくチェックすることにより、偽造書類が利用されていたということをほぼ確定することができた。その日本語学校の担当者はその申請を行った日本留学会社、日本留学センターに後日厳重注意し、そのようなことを再びしないように警告を発した
というようなケースがあった(ようだ)という情報をご提供いただいております。

 大変残念なことに、現時点(2016年の時点)では、少なからぬ日本国内の日本語学校が偽造書類を利用したベトナム人の申請に関して見て見ぬふり、知らぬふりを決め込まれているか、薄々気がついてはいるもののあえて真相を究明しようとはされてはいないようで、前述の例の最後に挙げたような偽造書類を利用して申請を行った日本留学会社、日本留学センターに注意するような日本語学校の担当者はあまり多くはないようです。それどころか、一部の日本語学校ではベトナム人留学希望者の経費支弁者に十分な資金がないのに(十分な銀行預金があるという)見せかけの銀行預金証明サービスが利用されているというケースまでも黙認しているようです。

 このようなことも大変残念ですが、当ブログの以前のエントリーである「国際貧困ビジネス」としての日本の日本語学校経営に関する一考察でも取り上げたように、全体の中では少数の日本語学校でしょうが、確信犯的に十分な留学資金がなく日本語能力も学習意欲も低いベトナム人留学生やネパール人留学生を多人数受け入れているというところまであるようです。



最後に ――― ベトナム留学生を募集、受け入れされてる日本語学校関係者の方々、教育機関の方々に申し上げたいこと

 こちらのエントリーでもご指摘させていただいたように、あえて語弊があるかもしれない言い方をしますと、ベトナム(特にベトナム北部)での私費日本留学を取り巻く荒れた現状は、「ルールを守らない者が勝つ」ようなひどい状況だと言えなくもないように思っております。

 当社/当センターのブログの数年前のエントリー、

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20120330
最近数年間のベトナムハノイの日本留学斡旋会社/留学センターの動向

で述べておりますように、ベトナム、特にベトナム北部の日本留学会社、日本留学センターは10年以上前に相当大きな問題を引き起こしていたことがあり、現時点(2016年の時点)においてもその日本留学会社、日本留学センターの多くはベトナムで日本留学エージェント業を続けており、日本語学校ベトナム人を紹介し送り出しているようです。また、当エントリーでもご指摘しているように、2012年、2013年には一部の日本留学会社、日本留学センターが多人数のベトナム人の留学申請で偽造書類を利用した(ようである)ことが判明して大問題になったということ等もあったようです。そのようなことから考えますに、当社/当センターは日本国内の日本語学校教育機関によるベトナム人留学希望者の募集、受け入れは、相応の経費や時間を費やして慎重過ぎるぐらいに気をつけつつ実行に移すぐらいがちょうど良いと思っており、実際に慎重に行ってやり過ぎるということが(ほとんど)ないのではないかと思っております。

 しかし、今年(2016年)、ベトナム人留学生を少なからぬ人数受け入れている日本語学校の複数の経営者の方々、管理職の方々にお会いして意見交換や情報交換をしたところ、そのように慎重に受け入れようとは考えられておられないことが多いようであり、

  • ここ1、2年のベトナム人の申請の入管の交付率は(一部の地域を除けば)9割前後で交付される率はまあまあ良い
  • 少なからぬ日本留学会社、日本留学センターが自ら営業メールや営業電話で連絡してくれて、留学希望者の紹介も熱心にしてくれる等のことで比較的募集がしやすい
  • 学生紹介手数料も中国の半分ぐらいで済んでコストも安くてラッキーだ

ぐらいのことしか思われていない、ご認識されていないのではないかと思ってしまいました(ただし、その一方で、一部の日本語学校は相変わらずしっかりときちんとベトナム人留学生の募集、受け入れを行われていることということもあります。ベトナム人留学生や他国、他地域から留学生をしっかりと慎重に募集、受け入れをされている日本語学校教育機関のみなさま、大変申しわけありません)。

 ベトナム人留学生をしっかりと慎重に募集、受け入れしている学校関係者の方々からすれば、おそらくとんでもない、または、ありえない、と思われる事例を次にご紹介いたします。


いまだにベトナム語の学校パンフレット、募集要項も準備せずにベトナム人留学生の募集、受け入れを行っている日本語学校のこと
 実際にベトナム人留学生を募集、受け入れにベトナムにいらっしゃった日本語学校教育機関の管理職の方々、募集担当者の方々はそのような実情をよくご存知かと思われるのですが、ベトナム人留学希望者の大半が初級レベルの日本語学習中であることが多く日本語がおぼつかず、英語や中国語でも十分なコミュニケーションが取れないことが多いということがあるようです。ほとんどの場合、留学希望者の家族や経費支弁者が日本語も英語も中国語も韓国語がわからない、つまり、ベトナム人留学希望者当人も家族、経費支弁者もベトナム語でしかコミュニケーションできないということが相当多数のケースで該当するようです。そのようなことがありますので、個々の日本語学校教育機関の情報をベトナム人留学希望者や家族に提供するとき、ほとんどの場合はベトナム語のパンフレットや募集要項があるほうがはるかにスムーズに事が進展する、ということがあるようです。

 前述のようなことがあるのですが、ベトナム人留学希望者や家族に学校のことを説明する際にベトナム語の学校パンフレットや募集要項がほぼ間違いなく必要になるということを十分ご認識されていないのか、学校パンフレットや募集要項の翻訳や作成・配布にお金や時間をかけたくないのか、ここ1、2年、当社/当センターにご連絡、お問い合わせがあった日本語学校教育機関、または、学校の管理職の方々、募集担当者の方々がベトナムに来られている日本語学校教育機関でも、ベトナム語の学校パンフレットやベトナム語の募集要項をご用意されていないというところはけっして少数ではありませんでした。

 そのような日本語学校の1校で、3年以上前の2013年から今年にかけて年に2回程度、合計で数回ほど当社/当センターに留学希望者を紹介してほしいという依頼してくるところがありました。当社/当センターはその日本語学校から連絡がある度に確認したのですが、毎回ベトナム語のパンフレットと募集要項をつくらない言い訳を言い連ねるだけ、という学校としての真意がわかりかねる対応をされ、困惑しておりました。今年ご連絡があったときにベトナム語のパンフレットと募集要項を準備しているのかどうかあらためて問い合わせたところ、あきれたことに「私たちは良い日本留学エージェントだけと付き合っておりますので、ベトナム語のパンフレット、募集要項がなくても、今まで良い留学生を受け入れてこれました」ということまで言って取りつくろうとしたので、驚いてしまいました。実は、ある元日本語教育関係者の方から、その日本語学校が十分な私費で留学する資金の用意もなく学習意欲も十分とは言えないベトナム人留学生、ネパール人留学生を多人数受け入れていたことをお知らせいただいていたので、見苦しいウソをついていることがすぐにわかってしまい、それほどの費用がかかるとは言い難いベトナム語のパンフレット、募集要項を準備さえしないこと(仮に当社/当センターにご依頼いただいた場合は、翻訳に関してなら、おそらく200USD〜300USDでベトナム語の翻訳をご提供させていただけたのではないかと思っております。実は当社/当センターからご提案させていただいたこともありましたが、断られました)に、大変残念だと感じる以外はありませんでした。


 二十数年前から十数年前に中国人留学生受け入れで起きていたという数々のトラブルや事件と類似の出来事や事件が現在の日本語学校ベトナム留学生受け入れでも相当数起きているようであること等から推測しますと、日本語学校教育機関のほうで学校側でしっかりとした募集と受け入れのシステムをきちんと構築していくことがとても大事なのではないかと考えております。ベトナム語のパンフレットや募集要項をきちんと準備することや学校側で留学希望者の経費支弁者の経費支弁能力をしっかりと確かめること等のベトナムでの募集、受け入れに際し押さえておくべきいくつかの重要な点はあるものの、ベトナムでも他の国、地域でも、日本語学校教育機関がきちんと丁寧に募集と受け入れを行っているかぎりは、避けがたいトラブルや事件というのは意外と少ないのではないでしょうか。

 当社/当センターとしては、そのような状況になることを望んではおりませんが、

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20150509
2015年、最近のベトナムからの日本留学の状況

でも述べたように、ベトナムから日本の日本語学校への留学ブーム(留学バブル?)が突然終焉する可能性もあるかもしれませんし、日本各地の入国管理局のベトナム人の留学申請に対する審査が極端に厳格化されるという可能性もあるかもしれません。いずれにせよ、何らかの要因により、日本の日本語学校に留学するベトナム人が突然極端に減少するようなことが起きれば、相当数の日本語学校は経営不安や経営危機に陥るでしょうし、ベトナム以外の国や地域でも現在のベトナムで行われている募集、受け入れ方法と同類のいわゆる「焼き畑農業的」なやり方を続けていくのなら、遠からぬ将来、日本語学校のビジネスモデルそのものが破綻する、ということさえも起こり得るかもしれません。

 現在日本国内には500校以上の日本語学校があるようであり、新設予定も含めると600校前後の日本語学校が存在することになるようです。留学生30万人を目標もあってのことなのかもしれませんが、外国人を日本に私費留学させる受け皿としての民間の日本語学校、留学生を受け入れるための専門学校や大学をそこまで無理して増やす必要があるのだろうかと思ってしまいます。新設校、新設予定の日本語学校教育機関の関係者の方々から怒られてしまうかもしれませんが、昨年から今年にかけて何校もの新設校、新設予定校の関係者の方々からのお問い合わせ、ご連絡をいただきましたが、新設校の管理職の方々や担当者の方々で留学生の日本語能力や学力を向上させるためにどのようなことをすればよいのか真剣に考えられている方々、留学生の立場に立って親身に受け入れてくださる方々は少数のようで、むしろ新しくつくられた学校なのに既存校の管理職の方々、担当者の方々より旧弊な発想の方々も少なくないようであるのは、大変意外で残念なことでした。

 当社/当センターでも日本留学関連事業を(細々とですが)続けていることがあり非常に言いにくいことではあるのですが、日本各地で私費の日本留学生を受け入れる日本語学校は、本来の日本語学校設立、運営の本分をきちんと守り、しっかりと外国人留学生を受け入れ、きちんと日本語教育と進路指導ができるところが合計で100校近くあれば(残れば?)、おそらく私費留学生の受け皿としては十分なのではないでしょうか。日本の日本語学校関係者の方々、いかがですか。

 日本語学校関係者の方々にとっては相当冷たい言い方と思われるかもしれず、お世話になっている日本語学校関係者の方々には申しわけないのですが、前記のエントリーで述べているように、

 ベトナムへもベトナム以外の国へも担当者の方が現地に出向き、きちんと丁寧に募集を行い、日本で受け入れてからは留学生の日本語能力を向上させることができ、かつ、生活の世話をみて、留学生のために進学や就職などの進路も見つけてあげられるような日本語学校は、将来においても確固とした存在意義があるように思っておりますが、そのような日本語学校ははたして何校、何十校あるのでしょうか。

ということに尽きるのではないかと思われます。

 日本の日本語学校は1年間60〜70万円前後の学費と割高な生活費を支払わせてまでベトナム人を留学させる大義名分があるかということを自省すべきであり、それと同時に、ベトナム人留学希望者も高額な学費と割高な生活費を支払ってまで日本留学する意義があるのかということをよく自問してから日本に留学すべきではないでしょうか。

 最後になりますが、私費で来日するベトナム人留学生やネパール人留学生、その他の発展途上国の留学生の受け入れにおいては、日本語学校に在籍している期間にしっかりと日本語の基礎を身につけてもらい、良い専門学校や大学に進学させ、ベトナム人留学生やネパール人留学生が日本や母国で良い就職先を探せるようにがんばり切れる力を身につけさせるものであってもらいたいですし、もし可能であれば、そのことに加えて、日本への私費留学で費やした何年かの時間や何百万というお金の元が十分に取れるものが得られるようであってもらいたいです。それとともに、日本での私費留学の経験が留学生のその後の人生、新しい人生を切り開くための力を身につけられるものであってほしい、と願っております。

 長文、乱文で、大変失礼しました。以上となります。

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