2015年、ハイフォン市の日本語教育の現状は?

 Anh Sao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムの首都ハノイベトナム北部で翻訳・通訳、コンサルティング・リサーチ、教育・研修等のサービスをご提供しています。

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2015年、ハイフォン市の日本語教育の現状は?

 ハイフォン市はベトナム北部でハノイに次ぐ規模の大都市で、ベトナムで3番目に人口が多い都市のようです(ベトナム中部の大都市であるダナン市より人口が多いようです)。ベトナムでは美人が多い都市として有名で、海辺の街でのシーフードもなかなかのものです。毎年5月〜6月にかけて市内のいたるところで鳳凰樹の花(ベトナム語では"Hoa Phượng"と呼ばれています)が咲き誇る様子に、この時期にハイフォンを訪れる人が感嘆されることは、けっしてめずらしくありません。もっとも、ハイフォン市の観光名所はハロン湾に隣接するCát Bà(カットバー)島観光ぐらいしかなく、お仕事でいらっしゃる方以外はなかなか行くことがないようであるのが残念です。

 先日、そのハイフォン市へ行ってまいりました。前述のようにベトナムで3番目に人口が多い都市で、以前より野村ハイフォン工業団地に多数の日本企業が進出しています。最近2、3年間は、富士ゼロックスハイフォン(Fuji Xerox Hai Phong Co., Ltd.)、京セラドキュメントテクノロジーベトナム(KYOCERA Document Technology Vietnam Co., Ltd.)、ブリヂストン タイヤ マニュファクチュア リング ベトナム リミテッド ライアビリティカンパニー(BTMV社)が工場を設立、稼働させる等あり、ベトナムでは日本企業の進出が盛んな地域の1つと言えるのではないかと思われます。

 日本企業の進出が盛んな地域である一方で、ハイフォン市の日本語教育は活況を呈しているとは言えないようです。特に高等教育機関日本語教育が伸び悩んでいるようで、ハイフォン市でほぼ唯一正規の日本語学科を持つハイフォン私立大学が孤軍奮闘しているようですが、日本語教育の質・量ともに大きな課題を抱えているようです。端的にいうなら、ハイフォン市の日系企業が要望する日本語レベルを有する学生、卒業生を十分に育成できていないことが挙げられるのではないかと思われます。その他、ハイフォン職業短期大学やハイフォン公立大学外国語センターで日本語教育が行われているようですが、当社/当センターで把握しているかぎりでは、現場で教えていらっしゃる日本語教師の方々は尽力されているものの、学生、卒業生の日本語レベルはそれほど高いものではないようだと聞いております。

 ハイフォン市の高等教育機関日本語教育が十分ではないという点、中部の大都市ダナン市に遅れを取っているのはもちろん、中部の観光都市フエにも負けているようであるのは残念です。フエはフエ外国語大学が日本語教育に相当力を入れているようです(ただし、フエは日本語を勉強した学生、卒業生の卒業後の就職機会が観光関係以外は相当限られているという問題もあるようですが)。ベトナム南部のブンタウ市でも日本語教育が活発になっているというようなことも聞いております。ハイフォン市はそれらの都市と比べてアドバンテージを有しているわりには、日本語教育の普及が十分行われていないのではないかという印象を持っております。

 ベトナムのどの都市でも共通する傾向かもしれませんが、ホーチミン市ハノイ市と同様、ハイフォン市でも民間日本語教育機関で日本語を学習するベトナム人は圧倒的多数が初級のようです。ホーチミン市ハノイ市と異なるのは、中級以上の日本語レベルの潜在的な日本語学習希望者が少なくないようであるにもかかわらず、現時点では中級レベル以上の日本語教育を行えるところが少ないようです。ハイフォン市の高等教育機関日本語教育が十分ではないことが一因で、ハイフォン市では中級レベル以上の日本語教育の供給が限られているようで、供給が限られているため需要も伸び悩んでいるようです(ただし、この点に関しては異見もあるようで、ハイフォン市は中級レベル以上の日本語教育の需要も供給も少ないと考える方もいらっしゃいます)。

 ハイフォン市の日本語教育を述べる際に、1995年から1997年の2年間、野村ハイフォン工業団地で実施され、千駄ヶ谷日本語教育研究所(日本の東京にある老舗の日本語学校)が関わった通称「野村ハイフォン日本語学校」のことを取り上げないわけにはいかないでしょう。「野村ハイフォン日本語学校」での大規模日本語教育が与えた影響は多大なもので、ベトナム日本語教育史で取り上げられるべき意義あるプロジェクトだったのではないかと思っております。ただし、関係者の方々には大変失礼ながら、20年前に実施された野村ハイフォン工業団地での大規模日本語教育がハイフォン在住の一部の方々によりいまだに伝説のように語られている状況にはやや違和感を覚えないでもありません。1998年以降、野村ハイフォン工業団地での大規模日本語教育プロジェクトは再開されずそれっきりになってしまい、それ以降、(ハイフォン私立大学での日本語教育を除くと)ハイフォンでの実務レベル、実務レベル以上の日本語教育は大して進展、進歩がないまま現在(2015年)を迎えてしまっているような気がしてならないように思われるからです。

 当社/当センターは、ハイフォン市の日本語教育が大まかに言って上記のような現状であることを踏まえつつ、ハイフォン市の日本語教育に何かできることがあるのか検討を重ねております。当社/当センターの顧客の方々、日本語学校関係者の方々、ハイフォン市にご縁のある方々からの情報やアイデアのご提供やご支援をお願いしたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

参照情報

http://www.hpu.edu.vn/home/index.php
ハイフォン私立大学
 ハイフォン市で唯一外国語学部日本語科があるようです。

日本語と私(ハイフォン公立大学)
 ハイフォン公立大学(ハイフォン私立大学ではありません)のベトナム人日本語教師の方々へのインタビュー記事です。記事によると、『ハイフォン公立大学は1959年に設立され、現在外国語学部、建築学部、会計学部などがあり、学生は現在約4000人います。外国語学部は英語と中国語のみで、日本語はありません。』とのことです。

https://www.jp-sji.org/jpc/school/history.html
千駄ヶ谷日本語教育研究所の)沿革

 沿革の1995年のところに『野村ハイフォン日本語学校ベトナム)において、日本語教育を開始。』とあります。

http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10069/5604/1/KJ00004164897.pdf
日仏共同支配期のベトナムでの日本語教育

 現在のハイフォンの日本語教育と直接関係あるわけではありませんが、戦前のベトナムでの日本語教育に関してまとめられているものがあり、ハイフォンでも日本語教育が行われたと書かれています。宮原彬氏による論考です。
 第2次世界大戦時、日本がベトナムを支配していた時期の日本語教育に関してまとめてあり、『組織的な日本語教育への取り組みは、1941年末から1942年の初めにかけてまず仏印政府によって始まった模様である』、『1943年4月当時、ハノイ、ハイフォン、サイゴン日本語教育が行われていた。対象はベトナム人、中国人(華僑)、フランス人であった』等々のご指摘があります。

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