ベトナム中南部Ninh Thuận原子力発電所建設計画中止が決定

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ベトナム 中南部Ninh Thuận原子力発電所建設計画中止が決定

　一昨日（2016年11月22日）、ベトナムの国会は日本とロシアが援助する南部Ninh Thuận（ニントゥアン）省の原発建設計画を中止する政府決議案を90%を超える賛成多数で承認したようです。

　その背景に関しては、2週間ほど前の当社/当センター、ブログの下記エントリーにも述べておりますので、

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20161110
ベトナム中南部Ninh Thuận原子力発電所建設計画見直しという報道に関して

もご覧いただければ幸いです。

　よく知られているように、近年、日本政府はインフラ輸出を成長戦略の柱と位置付け、政府と産業界が協力してインフラ輸出に取り組んでいるようですが、その重要な案件の1つであったベトナム原発計画の中止で、日本の戦略は水を差された形になったようです。

　朝日新聞の記事、

http://www.asahi.com/articles/ASJCQ3H0JJCQUHBI011.html

によると、

　日本では、経済産業省をはじめ関係者から落胆する声が出ている。原発事故後も「原発輸出」の旗は降ろさなかったが、政府戦略を進めるのは容易ではない。

ということで、ベトナムへの原発輸出に関われた方々は落胆されたようです。

　ロイター通信による英文記事、

http://www.reuters.com/article/us-vietnam-politics-nuclearpower-idUSKBN13H0VO

によると、ベトナム政府関係者は、

The Vietnamese government said in a statement that the decision, made in a closed session of parliament after discussion of a government proposal, was taken for economic reasons and not because of any technological considerations.

という談話を発表したようで、「今回の決定は経済的理由によるものであり、いかなる技術的な問題によるものではない」というような内容だったようなのですが、その発表に関して日本とロシアの原発推進派の政府関係者、企業関係者の面子を重んじたベトナムらしい発表だという批評もあるようです。

　日本経済新聞の記事

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H7Z_S6A121C1000000/

では、費用がかかり過ぎるという理由の他に、

さらに４月に中部ハティン省で台湾企業が建設中の大型製鉄所で大規模な公害が発生し、住民の環境意識が急速に高まったことも影響したとみられる。

という理由もあったのではないかと指摘しているようです。

　原子力発電所がベトナム全土の電力供給量に与える影響に関しては、朝日新聞の上述の記事によると、

　原発ができた場合でも国内の発電量の5.7%をまかなうにとどまり、「計画撤回で電力供給には影響しない」とした。

という説明がされているようです。

　当エントリーがベトナムで初めての原子力発電所の建設計画が中止されたことにご関心、ご興味をお持ちの方々のご参考になれば幸いです。

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