日本語能力試験2級を取得していれば(ある程度の)会話は大丈夫?--ベトナム編

 AnhSao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムハノイで翻訳・通訳、リサーチ・調査、教育・研修等のサービスを提供しています。
 当社/当センターのホームページは

http://www.anhsao.org
アンサオ人材開発会社(Anh Sao co.,ltd)/のぞみ日本語センター

です。
 ベトナム日系企業に勤務されていてベトナム人日本語スタッフのことでお困りの方、ご相談お待ち申し上げています。
 よろしくお願いいたします。

日本語能力試験とは?

 日本語能力試験という試験をご存知ですか。
 日本語を母語としない人を対象に日本語能力を測定・認定する公的な検定試験で、もっともよく知られている日本語の資格試験です。
 試験は1級から4級に分かれています。それぞれの級の認定基準は

http://momo.jpf.go.jp/jlpt/j/about.html
日本語能力試験について

をご覧ください。
 4級は初級レベルの前半(+α)程度(目安は『みんなの日本語1』終了レベル)の内容を問うもの、3級は初級終了(+α)程度(目安は『みんなの日本語1』、『みんなの日本語2』終了レベル)の基本的な内容です。2級 、1級は中級・上級レベルです。
 試験科目は

  1. 文字・語彙
  2. 聴解
  3. 読解・文法

の3科目です。
 解答はマークシート方式、つまり、いくつかの選択肢の中から正答を選んでマークするという解答方式です。インタビュー試験、会話の能力測定試験はありません。解答はすべてマーク式であり、記述式の解答箇所は皆無です。例えば、漢字の問題ですが、いくつかの選択肢の中から選んでマークする形式が取られていて、受験する人が解答欄に実際に漢字や読みがなを書くことはありません。

日本語能力試験2級を取得していれば会話は大丈夫?

 当社/当センターのスタッフ、教師が知りうる限られた範囲の話ですが、日本語能力試験2級を取得しているからといってそれにふさわしい会話能力(、そして、実務能力)がそなわっているとはかぎりません。
 日本語能力試験2級を取得していれば日系企業のオフィス、工場等、ビジネスの現場で何とかがんばって仕事していけるくらいの日本語会話能力を備えているべきだと思われるのですが、残念ながらかならずしもそうではないようで、初歩的な会話すらあやしい人もいるくらいです。特にベトナムはそのような傾向が顕著だと思われます。ハノイにかぎらず、ホーチミン市でも事情は同様です。
 日本語能力試験そのものがどちらかというと知識を問う問題であること、会話の試験がないことが主な原因として挙げられるかと思います。さらにはベトナム特有の事情がそれに加わります。ハノイでは去年くらいからなりふりかまわず試験で点数を取るテクニックだけを追求するようなところが出てきています、ホーチミン市は以前からそのようなところがあるようですが。

ある日系企業の採用担当者とのお話

 先日、ある日系企業の採用担当者とお会いしました。その方は
「採用基準ですが、ベトナム人の日本語通訳、日本語が話せるベトナム人総務担当者は、日本語能力試験2級を取得していることです」
というようなことをおっしゃっていました。
 一方で、

  • その日本語能力試験2級を取得しているというベトナム人スタッフに指示が伝わらなくて困る
  • ベトナム人スタッフが言っていることを理解するのが難しい(ことがときどきある)
  • コミュニケーションにとにかく時間がかかる

等の悩みをお持ちのようでした。
 上のようなことを申し上げたところ、日本語能力試験に会話試験がないということをご存じなかったようで、
「えっ!本当ですか?会話の試験がないんですか」
と驚かれていました。

当社/当センターの日本語能力試験2級対策クラス

 実は当社/当センターも日本語能力試験クラスを開講しています。日本語能力試験2級対策クラスを開講してから1ヶ月過ぎました。
 可能なかぎり日本語の会話能力、運用能力を向上させられるように、または、できるだけ会話能力を損なわないように注意を払いながら授業を進める努力をしています。しかし、試験合格を目標に掲げ、会話能力の維持・向上を意識して授業するのはなかなか難しく、どういうふうに進めればいいのかをいつも考えています。
 あらためてまた別の機会に当社/当センターでの取り組みをご紹介させていただければ、と思います。