ベトナムでよくある日本語企業研修(4級レベル目標コース)失敗例(その1)
Anh Sao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムのハノイで翻訳・通訳、リサーチ・調査、教育・研修等のサービスをご提供しています。
当社/当センターのホームページは
アンサオ人材開発会社(Anh Sao co.,ltd)/のぞみ日本語センター
です。
当社/当センターは日本語企業研修もお引き受けしています。2008年5月〜7月の期間、4級レベル目標コース(企業研修)はプロモーションを行っています。お気軽にご連絡、お問い合わせください。
日本語センターに任せたら放っておいても大丈夫?――ベトナムでよくある日本語企業研修(4級レベル目標コース)失敗例1
前回のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20080510
ベトナムで4級レベルの日本語能力を身に付けさせるメリット
では、日本語能力試験4級とは何かということ、ベトナムの日系企業で4級レベルの日本語能力を身に付けさせるメリットを述べました。まだご覧でない方は先に目を通していただければ、今回のエントリーを読むときのご参考になるかと思います。
さて、4級レベル目標コースの日本語企業研修ですが、実際にどのようなことに気をつけて進めればよいのでしょうか。
どこかの日本語センターに日本語研修を一任し、後は放っておけば、大丈夫でしょうか。大丈夫な場合もあるにはあるようですが、日系企業の方々からお話をうかがうと、それほどうまくいっていないというケースがかなりの数にのぼるようです。
当社日本人スタッフは、他の日本語センターに日本語研修を委託した会社十数社からお話をうかがうことができました。お話を分析したところ、当社/当センターとしてはこのようなことを言いたくはないのですが、研修を引き受けた(当社/当センター以外の)日本語センターのほうに問題があるケースもありました(ベトナム、ハノイの同業他社の方々、関係者の方々、すみません)。
しかし、うまくいっていない原因はそれだけではありません。日系企業でお仕事をされている方々に対して失礼な指摘にあたるかもしれず恐縮ですが、日系企業のほうが抱える事情ゆえに日本語研修があまり成果や効果を上げていないというケースも少なからず見られるようです。そのように思われる例を具体的に取り上げてみましょう。
ケーススタディ――ベトナムでよくある日本語企業研修(4級レベル目標コース)失敗例1
ベトナムでよくある日本語企業研修(4級レベル目標コース)失敗例1
失敗例1:A社は比較的最近ベトナムに進出してきた電気機器の部品製造メーカーである。ベトナムに生産拠点を設けるにあたり、日本語によるコミュニケーションを重視する方針を掲げた。社長のトップダウンで大々的に日本語教育が開始され、当初は問題なく進むかに見えた。
ところが、部署によって、または、研修を受ける個人によって、仕事等による欠席、遅刻、早退が相次ぎ、研修をきちんと受けている人と受けていない人の間に理解の差、大きな日本語レベルの差が生じてしまい、研修の効率が極端に低下してしまった。
せっかくかなり長期間にわたり日本語を学習させたにもかかわらず、日本語研修を受けさせた者の大部分は(日本語では)あいさつくらいしか交わすことができない。何もしなかったよりはマシだとは思っているものの、もう少し工夫の余地があったのではないかという思いが頭を離れない。
考えられる原因と解決案――ベトナムでよくある日本語企業研修(4級レベル目標コース)失敗例1
様々な原因、解決案が考えられるかと思いますが、考えられる原因と解決案を2点ほど指摘します。
まず、第1点目です。
ア. 日本人側に日本語研修に対する理解があまりなく、仕事が忙しいとすぐに研修を休ませる、または、理解があっても仕事のほうをつい優先させてしまうことがあります
というようなことが挙げられるかと思います。
日本人の側に日本語研修に対する理解が一定の程度以上ないと研修を成功させるのは難しいです。日本語を重視したいという社長の方針が他の経営陣やマネージャー、日本人スタッフに共有されていない、あるいは、日本人サイドで日本語研修に理解がある人が一握り、というような状況では厳しいものがあります。まずは、日本人の側が日本語研修に対して理解と協力の気持ちを持つことがポイントだと思われます。
仕事がほんとうに忙しいときは部下を休ませて仕事させざるをえないと思うのですが、そうでないときは研修の時間は研修に集中させられるように考えてあげてください。忙しくてベトナム人の部下を休ませたくない気持ちは十分に理解できますが、仕事の配分に注意を払っていただき、できるだけ研修を休まず続けられるようにしていただけないでしょうか。日本語を学ぶベトナム人スタッフ、ワーカーを長い目で見守ってあげてください。
第2点目です。
イ. 日本語研修を受けるベトナム人が日本語研修に対する十分な自覚を持っていない場合もあります
これに関しては、業務上の日本語能力の重要性、日本語でのコミュニケーションの重要性を説くのと同時に、研修を休みにくくするしかけをつくるようにするといいと思います。
例えば、B社の場合は「授業を休む場合社長の許可を得るようにした」、C社の場合は「日本語研修皆勤賞の受講者には賞金や賞品を出すことにした」そうです。
また、インセンティブも効果があるようです。D社の場合は「1年数回社内で日本語能力テストを行い、高得点者はみんなの前で表彰し、賞与を与える、または、昇給させることにしている」とのことです。
いずれの方法も効果大とのことです。
前向きに失敗例を活用しよう
失敗例を見ないようにする、隠してしまうよりは、失敗例について考え別の視点でとらえ直すことで、失敗パターンから抜け出せるかもしれません。ベトナムに限った話ではなく、日本語研修/教育に限った話でもないと思いますが、前向きに失敗例を活用することは重要だと思います。