ベトナムでの日本語センター経営/運営の難しさ 7つのポイント

 Anh Sao Co.,ltd(アンサオ)/のぞみ日本語センターです。ベトナムハノイで翻訳・通訳、コンサルティング・リサーチ、教育・研修等のサービスをご提供しています。

 当社/当センターのホームページは

http://www.anhsao.org

アンサオ人材開発会社(Anh Sao co.,ltd)/のぞみ日本語センター

です。よろしくお願いいたします。

はじめに

 世界的な経済不況の影響もあり、当社/当センターの経営/運営がかなり苦しい状況にあるということを何度かお伝えしてきました。

 (当ブログをお読みいただいている方々はご存知かと思いますが、)当社/当センターは、2007年よりベトナム人一般受講生向けの日本語クラスを開講してきました。

 例えば、去年の日本語クラスですが、

http://d.hatena.ne.jp/anhsao/20080806
2008年夏の中級日本語会話クラスが終了しました

というエントリーでは、当社/当センターの中級学習者向け会話クラスを取り上げています。

 しかしながら、中級学習者向けコースは、日本語を使う仕事を(元、現)受講生にご紹介することも、また、日本語クラスをつくることそのものも難しくなっています。初級学習者向けコースは、他日本語センターとの競合が激しく、レベルを高めつつ(あるいは、保証しつつ)採算的に赤字にならないようにすることは厳しい状況です。

ベトナムで日本語センターを経営/運営することの難しさ 7つのポイント

 日本語センターが講師へお支払いする平均的な謝金の額がやや異なっていること以外、ホーチミン市でもハノイでも、ベトナム人一般受講生向けのクラスに関しては、おそらく次のようなことが言えるのではないでしょうか。

  1. (とても残念なことではありますが、)現在のベトナム(2大都市のみならず、「ベトナム全土」と言ってもいいのではないかと思います)では日本語を学習するコストパフォーマンスはそれほど高いものではないため、相当レベルの高い、密度の濃い授業をしたとしてもそれに応じて学費を高くすることは現実的ではありません。
  2. 初級学習者に特に言えることではないかと思われますが、日本語学習(希望)者のほうでも学費が安いことを重視する人は多いです。
  3. (当社/当センターが知り得た範囲でですが、)一定レベル以上の授業ができる講師、かつ、突然ご自分の一方的なご都合で休まない方(急病や事故などのやむを得ない事情は別として)、キャンセルしない方、時間をきちんと守ることができる方は、日本人講師も、ベトナム人講師もそれほど多くはいらっしゃらないようです。(もちろん、きちんと授業してくださる方も数多くいらっしゃいます。ベトナム日本語教育関係者の方々、上の指摘によりご気分を害されたのでしたら、ほんとうに申しわけありません。)
  4. 日本語センターからしますと、きちんと授業してくださる講師の方々に対して、あまりにも安い金額でお願いするのは失礼、かつ、問題ある行為かと思われます。一方で、講師へお支払いする謝金を大幅に引き上げる、可能なかぎり高い金額に設定するというのも、諸々の事情により現実的ではありません。
  5. ホーチミン市も同様ですが、ハノイ市内も賃貸料、地価が高いです。オフィス賃貸料は経営を圧迫します。(親戚や友人の持ち家を使わせてもらう、安く貸してもらう、という方法をとっている日本語センターもあるようです。)
  6. 日本語学習(希望)者数は、通年でみますと明らかな時期的変動があります。そのようなことがわかっていても、当社/当センターのような小規模な日本語センターでは対応が取りにくいものです。
  7. 学費をそれ相応に高くするのが難しいという現状の下では、相当数の受講(希望)者数を集めてスケールメリットを生かしたセンター経営/運営をする方法、または、他業種との組み合わせでデメリットを克服するという方法が考えられます。

上記の補足です

 (2009年の時点で)ハノイにスタートして4年目になる日本語センターがあり、ベトナム人一般受講生のクラスを中心にされているようです。数ヶ月前ですが、そのセンターでお仕事されていた日本人日本語教師の方からお話をおうかがいしたところによると、100人前後の受講生がいるということのようですが、経営的には採算が取れず、日系企業に勤務しているベトナム人社長が毎月のように赤字を補填しているとのことでした。

 失礼な指摘で関係者の方々には申しわけありませんが、スケールメリットが得られない典型的なケースが(上記の、2009年時点で)スタートして4年目になる日本語センターではないでしょうか。ハノイの場合、前掲の事情により、100人前後の受講生数ではスケールメリットが得られないのではないかと思われます。

 おおよそは当社/当センターで推測していた通りでしたので、驚いたわけではありませんが、そうでないといいな、明るい話を聞きたいな、と希望的観測も抱いていました。

 当社/当センターより1年前にスタートしていて現在がんばっているところでもやっぱりそうなのか、とちょっと暗い気分になってしまいました。

 また、相当数の受講(希望)者数を集めているセンターでは「質より量」に重きをおくことになりがちで、授業のレベルはあまり高くない(という評判)、ということはあるようです。もちろん、個々の日本語講師の方には教え方がとても上手な方、現場で懸命に尽力されている方もいらっしゃるのですが。

 ハノイ日本語教育関係者の方々、該当される(と思われている)日本語センターの関係者の方々、上記の記述、指摘でご気分を害されたということでしたら、大変申しわけありません。お気づきの点などございましたら、お知らせいただけませんでしょうか。

上記の補足――講師へお支払いする謝金の額に関して

 ご参考までに、ホーチミン市と比べて、ハノイの平均的な謝金は高いようです。「(現時点では)ホーチミン市での謝金の相場が安く抑えられている」と表現したほうが適切かもしれませんが。 

 ハノイでは近年日本語センターから日本語講師へお支払いする平均的な謝金の額が上昇しました。去年(2008年)秋からの経済不況にともなう仕事の減少により、謝金の平均額は下がるという予想もあったようではあるのですが、現時点(2009年)では現状維持のようです。

 当社/当センターの場合、他センター(の平均額)よりは多少高めの謝金でお願いする(ご理解していただく)ことにしています。

 他の日本語センターにご迷惑をおかけしたくないので、具体的な謝金の額は申し上げないことにします。

おわりに

 ベトナムの日本語センター経営/運営において、ベトナム人一般受講生向けクラスがメインで、経営的に赤字にならないようにする、かつ、授業の質を向上させる(質が高い状態を維持する)のは、容易なことではないでしょう。

 ハノイの日本語センターの中には、企業研修等をメインにして、一般受講生向けクラスを(現在は)ほとんど開講していないところさえあります。日本語センターによっては、そのような方向に進むべきかどうかを検討してみるのもおもしろいかもしれません。

 ベトナム人一般受講生向けの日本語クラスで、授業の質を確保しながら、かつ、採算が見込める方法はないものでしょうか。

当社/当センターまでお気軽にご連絡、お問い合わせください

 当社/当センターのホームページは

http://www.anhsao.org

アンサオ人材開発会社(Anh Sao co.,ltd)/のぞみ日本語センター

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 ご連絡は当社/当センターのEmail:anhsaoinfo@gmail.comへよろしくお願いいたします。

 今後とも当社/当センターをよろしくお願いいたします。